「リハビリテーションの専門家」と一言で言っても、作業療法士には多種多様なパフォーマンスが求められ、特に医療の高度化・専門化が進むにつれ、期待される役割はますます拡大してきているのが現状です。
そこで作業療法士は、時には単独で、時にはソーシャルワーカーや医師、看護師など他の医療従事者と連携しつつソリューションを提示することが求められています。
実際に、作業療法士が活躍する場面を挙げてみましょう。
各種病院、リハビリステーション、訪問看護ステーションなど
一番最も身近なのは、身体障害者を対象とするケアです。
一口に身体障害と言ってもその原因は様々で、手足の切断、リウマチ、骨折など多岐にわたります。
まずはその障害の程度を把握し、生活していくうえで支障となる点を挙げてみます。
そしてそれを克服するために何をすべきかを検討しますが、作業療法士の仕事は対象者の訓練や指導にとどまりません。
家族の相談に乗ったり住宅改修の案を提示したり、自助具の使用を勧めたりと、患者を総合的にサポートすることもあります。
これらをおこなう場所としては各種病院やリハビリステーション、訪問看護ステーションなどが挙げられます。
なお、身体障害から領野を拡大し、発達障害や先天性障害をもつ子どもと、主に遊びを通じて接し、機能回復を助ける作業療法士もいます。
保健センター、精神病院など
他方、精神疾患とのかかわりが深いことから、彼らへの処置も作業療法士に託されることがあります。
事実、保健センターや精神病院に勤務する方は統合失調症、神経症、アルコール依存症など様々な原因で疾患を抱えた方と向き合い、彼らの症状の安定や社会復帰を手伝うのがお仕事です。
介護老人保健施設、有料老人ホームなど
また、高齢化に伴い介護老人保健施設、有料老人ホームなど老人ホームの件数も増えてきていますが、こうした場所で働く作業療法士は、当然ながら老年期障害への対応が主要な仕事となります。
身体機能や日常生活動作の改善、居住環境の見直しなどを行うほか、介護者や家族の教育など、高齢者を取り巻く環境全般に携わるため、身軽なフットワークが求められるでしょう。